フィカス・アルテシマ生産の流れを10号サイズを例にご紹介します。アルテシマは沖縄でよく生産されている品種で、福樹園でも生産数が1番多い植物でもあります。アルテシマの生産方法は、畑に植え込む方法と、鉢のまま外に出して生育させる方法があります。今回は鉢のまま外に出して生育させる方法をご紹介いたします。
プラグ苗を植え込みます
プラグ苗をまずは3〜4号くらいの小さな鉢に植えます。苗は挿し木や取り木でも増やせますが、プラグ苗の方が品質が安定するので主に利用します。3〜4ヶ月くらい養生して根っこをしっかり出させます。
根っこがしっかり回ったら10号サイズの鉢に植え替えます
根っこがまわったら、各サイズの鉢に植え替えます。今回は10号サイズです。根っこがしっかり回る前に植え替えると、植え替え時に土が崩れて根を痛めてしまうことがあります。土が崩れないくらいまで根を張らせた方がダメージが少なく安全です。
1年くらいかけて伸ばします
植え替えたら曲げれる長さになるまで伸ばします。伸ばすとその分太くなり、幹が硬くなっていきます。ウンベラータなどの硬くて曲げにくい植物は、途中まで伸びた段階で少しずつ曲げ始めますが、アルテシマは比較的曲げやすい植物なので、必要な長さまで一気に伸ばします。
曲げます
必要な長さまで伸びたら支柱とヒモをつかって曲げていきます。「自然に曲がるんですか?」と聞かれることがありますが、全て人の手で曲げています。樹形が決まる重要な工程で、曲げの良し悪しで製品のクオリティの半分くらいが決まります。
アルテシマの生育期
アルテシマを外に並べます
曲げ終わったアルテシマを外に並べます。10号サイズの場合、1年半〜2年くらい外で生育させます。直植えする畑と区別して「置場」と呼んでいます。
ハウスでの栽培と比べて太陽の光が多く当たるので成長が早くなります。また、根っこが鉢下から出て地面に張っていくことでも成長が促進されます。
太ってきたら1度目の剪定をします
ある程度の太さになってきたら一度目の剪定をします。
剪定をすると勢力が落ちますので、剪定しない時と比べると幹が太りにくくなります。そのため太く仕上げたい場合はある程度太らせてから1度目の剪定をした方がいいのですが、剪定が遅いと今度は下の方の枝が出にくくなります。逆に早めに剪定すると下の枝は出やすくなりますが、太らせずらくなります。悩ましいところですが、要望に合わせて作り分けます。
2回目〜3回目の剪定
アルテシマの場合、仕上げたいボリューム感に合わせて2〜3回剪定します。同じ10号サイズでも160cm程度にコンパクトに仕上げる場合は2回剪定で十分ですが、180cmくらいまで作り込む場合は、太らせる意味もあり3回くらいは剪定します。
アルテシマの仕上げ
アルテシマを温室の中に取り込みます
2回目or3回目の剪定をした後、温室の中に取り込みます。外に置いていた時の葉っぱは虫に食べられたり日に灼けたりしているので、一旦ほとんど落として温室の中で新しい葉っぱを出させます。剪定したばかりで葉っぱも付いていないので、ぎゅうぎゅうに詰めて置きます。
新芽がある程度吹いてきたら間隔を広げていきます
新芽が伸びてくるにつれて、隣の葉っぱ同士が重ならない様に間隔を広げていきます。この時にしっかり間隔を取らないと、光がしっかり当たらなかったり、風通しが悪くなり、生育不良や病気の原因になります。
適度に芽が伸びてきたら完成です
アルテシマの葉っぱは光が強いほど斑(ふ)の黄色が強くなり鮮やかになります。室内など暗い所に置くと、この斑(ふ)が段々と緑色になって目立たなくなっていきます。