大切に育てている観葉植物が枯れてしまったら悲しいですよね。観葉植物の状態が悪くなった時に、どう対処していいのか迷う方は多いと思います。対処の仕方を間違えると、弱った植物にトドメをさしてしまうことにもなりかねません。今回は植物の基本を押さえながら、誰でもキチンと対処できるように説明したいと思います。
根っこが痛む原因
観葉植物の根っこが痛む原因は色々ありますが、ご家庭で育てている観葉植物の場合、原因として多いのは次の3つのようです。
- 水のあげ過ぎ
- 水が足りない
- 鉢の植え替え
水のあげ過ぎ
実は、観葉植物を枯らしてしまう1番の原因は水をあげ過ぎと言われています。観葉植物の水やりは、「水をあげる」→「少し乾燥させる」→「水をあげる」と適度に繰り返す方がいいのですが、マメな人ほど何度も水をあげてしまい、その結果根っこを痛めてしまいます。大事なのはある程度土が乾燥するまで待ってからたっぷりと水を与えることです。
どのくらいの頻度が適切かというととても難しいです。植物の状態や環境でかなり差がでるからです。
ただおそらくイメージされている頻度よりは少なくて済むはずです。
例えば次は沖縄で一般の方に実際に水やりの頻度を測ってもらった時の事例です。
- 沖縄の8月(気温32〜34℃)
- 置き場所はリビングの窓際(光がよく入る)
- 植物はフィカス・ウンベラータ(比較的水を好む)
というかなり水が必要になりそうな条件です。
この条件でSUSTEE(サスティー)という水分計でタイミングを測って水やりをしてもらったところ、なんと2週間に1度のペースでした。3ヶ月続けてもらいましたがウンベラータの状態はスタート時とほとんど変わらず大変良好でした。
もちろんこれがいつでも当てはまるわけではありませんが、思ったより頻度が少ないことに驚かれたのではないでしょうか?
室内だと意外と水やりの頻度は少なくて済むのです。
水が足りない
水が足りないというのは、水をあげる頻度が少ない場合とあげる量が少ない場合、またはその両方があります。
あげる量が少ない
水をあげる量が少ないと全く水が行き渡らない場所が出てきます。そのような場所から根っこが痛んできます。一応水はあげているので植物全体が枯れてしまうことはないかもしれませんが、状態が悪くなったり一部の枝が枯れてしまったります。
この場合の対処法は簡単で、一度にあげる量を増やしてください。どのくらい増やせばいいかと言うと、どれだけ増やしても大丈夫です。例えばテーブルに置くようなサイズの小さな観葉植物に鉢の体積の数倍の水を与えても大丈夫です。
穴が空いている鉢であれば余分な水は下から流れ出てしまうので何も問題ありません。大事なのは水やりの際に土全体に水を行き渡らせることです。
水をあげる頻度が少ない
水をあげるタイミングが遅くて土が完全に乾燥してしまうパターンです。対処法としては水やりの頻度を増やす必要があるのですが、難しいのは水やりの頻度が多過ぎても根腐れの危険があるということです。
また、水やりが少なく土が完全に乾燥した状態の時に、慌てて一度にたくさんの水をあげてしまうと、一気に根っこがダメになってしまうことがありますので気をつけてください。
土の状態を見れるようにする
まずは土がどんな状態の時に水やりをするのがよいのか掴みましょう。土を鉢の真ん中くらいまで削ってみて、中まで乾燥してたら全く足りていません。表面の1cm〜2cmくらいが乾燥していて、中はほんのり湿っている状態であればちょうど水をあげるタイミングです。土の中の方まで指が濡れるほど湿っている場合はまだまだあげる必要はありません。
この違いを掴んでいってください。とはいえ毎回土をほじくるわけにはいかないので、始めのうちはSUSTEE(サスティー)のような水分計を使うのもオススメです。
鉢の植え替え
観葉植物を別の鉢に植え替える時に根っこを痛めてしまうことも多いようです。新しい鉢に植え替える時に、土を崩さずに植え替える方法と、少し土を崩したり、古い根を処理して植え替える方法があります。土を崩さない方法では根っこが痛まないので問題ないのですが、土を崩すとどうしても根っこも痛んでしまいます。
植え替える際に土を崩したり古い根っこを処理する方法は、キチンとやれば観葉植物を元気に育てるのに有効です。ただし、植え替える時期ややり方が悪いと枯れるリスクが高くなるので、詳しい方に聞きながらやることをオススメします。
根っこが新しく出てくるのを「待つ」
痛んだ根っこを回復させるために私たちが出来ることは、実はあまりありません。植物自体が持つ回復力に頼るしかありません。私たちに出来ることは、植物の自己修復力が削がれないように環境を作ってあげることです。
観葉植物は通常、根っこから水分を吸収して中に取り込み、葉っぱから蒸散によって外に出します。何らかの原因で根っこが痛むと、必要な水分が取り込めなくなります。水分が取り込めない状態で蒸散だけすると、植物の中の水分がどんどんなくなってしまうので、最終的に枯れてしまいます。
植物は根っこが痛んで水分が吸収できないとなると新しい根っこを出そうとします。ですので、新しい根っこが出るまでの間、いかに植物内の水分を保ち、枯れないようにするかがポイントになります。
水やりは普段よりもさらに控えめに。
根っこが痛んで水分が吸収できない状態ですので、普段と同じ水やりをしていると揚げ過ぎになってしまいます。水やりの頻度は減らしてください。
蒸散を抑えるポイント
植物は蒸散によって水分を外に放出します。根っこから水がうまく吸えない状態ですので、いかに蒸散を抑えるかがポイントになります。
直射日光を避ける
根っこが痛んだ植物は直射日光が当たらない場所に置くようにしてください。蒸散が激しくなります。
温度を適度に保つ
おなじく、温度が高すぎると蒸散が激しくなるのでよくありません。植物の種類にもよりますが、15℃〜25℃の間であればだいたいは大丈夫でしょう。逆に、温度が低すぎると、植物の活性が落ち、根っこの回復が遅くなります。
葉っぱの量を減らす
葉っぱの量が多いとその分蒸散量も多くなるので、葉っぱを切り落として減らすのも手です。葉っぱを減らす場合は、新芽に近い葉は残すようにし、反対の根元部分の葉から落とすようにしてください。
湿度を保つ(葉水をする)
湿度が高いと蒸散が抑えられます。一般のご家庭で湿度を高く保つのは難しいと思いますので、葉水の回数を多くしてあげるのも有効です。
温度と湿度に関してもう少し詳しく
温度は15℃〜25℃くらいがよいと言いましたが、実は湿度が高ければ温度はもっと高くても大丈夫です。例えばウンベラータやアルテシマなどのフィカス(ゴム)類の場合、湿度が100%に近ければ35℃〜40℃くらいまで上がっても大丈夫です。湿度が100%に近いと温度が高くても蒸散が抑えられるからです。逆に温度が高いことで根っこの出が早くなります。
湿度100%というのはビニールハウスなどでは可能ですが、一般家庭では現実的ではありませんので、やはり温度は15℃〜25℃くらいに保って焦らずゆっくり回復させてあげてください。
回復したかどうかの見極め方
根っこは土の中で増えていくので、ぱっと見ただけではなかなか分かりづらいものです。見極めるポイントとしては、
- 葉っぱがピンと立ってきた
- 土の表面や鉢底から根っこが出てきた
- 土が乾燥するのが早くなってきた(水を吸っている)
この辺りを気にしてみてください。ここまで回復してきたら水やりの頻度を少しずつ増やしても大丈夫です。
まとめ
以上が観葉植物の根っこが痛んだ時の対処法です。特別なことはしようとせず、暑過ぎず、寒過ぎない適度な環境で休ませることが回復への近道です。とはいえ、始めのうちは濁物の状態を見てもなかなか判断がつかないと思いますので、植物に詳しい人に見せてアドバイスをもらうようにしてください。